イソフラボンは前立腺がんの予防に役立つ?

イソフラボンはマメ科の植物に含まれる、ポリフェノールの一種です。
大豆に多く含まれているため、味噌や醤油・豆乳などの大豆製品を食べることで、体内に摂取できます。

イソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」に似ているため、体内でエストロゲンと同じ働きをします。
「女性」ホルモンといっても、男性の体にも必要なホルモンです。

そのため、男性も毎日適量のイソフラボンを摂取することで、体の健康を保つことができます。
イソフラボンがもたらす益として挙げられるのが、「前立腺がんの予防」です。

前立腺がんの原因となるのは、男性ホルモン「テストステロン」です。
もちろんこのテストステロンが、直接がんを誘発するわけではありません。

このテストステロンは、体内の5αリダクターゼという酵素によって活性化され、「ジヒドロテストステロン」という活性型男性ホルモンに代謝されます。
このジヒドロテストステロンが前立腺を肥大させ、がん細胞の増殖を促進してしまうのです。

イソフラボンはまず5αリダクターゼが生成されるのを抑制します。
5αリダクターゼを減らすことによって、テストステロンがジヒドロテストステロンに代謝するのをブロックします。

また、ジヒドロテストステロンが前立腺に作用するのをブロックして、前立腺が肥大・硬化するのを防ぎます。
さらに、前立腺内にある、ジヒドロテストステロンの受け皿がつくられるのを抑制して、このホルモンが前立腺内でがん細胞を増殖させるのを抑えます。

テストステロンが体内で過剰に生成されることに伴って、ジヒドロテストステロンの量も増えてしまいます。
ですから、テストステロンの過剰生成も前立腺がんの原因の一つといえます。

イソフラボンを摂取することで、体内の女性ホルモンと男性ホルモンのバランスを保ち、男性ホルモン・テストステロンが異常に増加するのを防ぎます。

体内に存在する「チロシンキナーゼ」という酵素は、細胞の増殖において大きな役割を果たします。
しかし、このチロシンキナーゼはがん細胞にも作用し、がん細胞の増殖・分裂も促進してしまいます。
そこで力を発揮するのがイソフラボンです。

イソフラボンの一つ「ゲニステイン」は、チロシンキナーゼが異常に活性化して、がん細胞を刺激するのを抑制してくれます。
がん細胞は増殖・分裂のために、栄養を供給するための血管を新生します。

ゲニステインはこの血管の新生を阻害して、がん細胞に栄養が送られないようにブロックする作用があるため、がん細胞の成長・転移を抑えることができます。